Interview
Yamato Transport
Michihiro Tokumoto
Since 1999
激動のグローバルサプライチェーン。ヤマトらしい「顧客軸」で再編する。
営業・グローバル戦略統括ヤマト運輸
法人部門
営業・グローバル戦略統括
マレーシアヤマト運輸 代表
1999年 入社
徳本 道寛Michihiro Tokumoto
社会学部を卒業後、新卒でヤマト運輸に入社。宅急便の営業所勤務やエキスプレスの国内航空輸送の営業を経験したのち、本社財務部へ異動し連結決算や開示業務を担当。2015年4月からシンガポールヤマトで副社長として財務面を中心に現地法人を担い、2020年3月より、マレーシアヤマト代表。
日系企業の躍進に欠かせないGSC。最適化された供給網でコスト削減を。
日系企業の多くはグローバルにサプライチェーンを展開し、多くの工場や生産地を海外に置いています。そうした大規模法人に対して、ヤマトグループが持つグローバルなリソースを最大限活用し、一気通貫のサプライチェーンソリューションを提供することが、私たちの役割です。ここマレーシアには電子機器に欠かせない半導体の工場が集約しており、日本に本社がある各企業にとって重要な拠点となっています。クロスボーダートラックを活用した陸路による輸送で、海上輸送よりも早く安定的に、空路よりも安価に運べる経路が確保され、ASEANでの注目度も上がっています。
大手メーカーから製造を委託された工場の多くは、材料や製品の保管を減らし生産に集中することを求めており、そうしたニーズに応えるためには輸送のリードタイムを短くすることが重要です。ものを運ぶのに時間がかかれば、それだけ工場のスペースを圧迫することにつながり、効率が下がってしまうのです。そこで私たちが取り組んでいるのは、各国のヤマトとも連携しながら、マレーシアを含む包括的な視点でお客さまのサプライチェーンを再編することです。GSC（グローバルサプライチェーン）の全体像を把握し、最適な供給網をくみ上げることで、単純な輸送コストに留まらない大幅なコスト削減や付加価値向上というメリットを生み出すことができるのです。
セクショナリズムを排し、「Oneヤマト」で価値を提供。
私は入社後宅急便の現場を経験し、その後本社財務部に異動してヤマトグループ全体の財務会計に携わったことを契機に、分析力やグローバルな視点、財務諸表の知識など会社経営に関する素養を身につけてきました。その後、シンガポールヤマトでは副社長として、そして現在のマレーシアヤマトでは社長として、これまで培った財務・経営知識を活かしながら現地法人の運営を任されています。こだわってきたのは徹底的に顧客目線を持つことです。お客さまのビジネスにとって最適なサプライチェーンを物流オペレーションまで落とし込んで設計・提案することで、最適なソリューションとワンストップサービスを提供することを心がけています。
例えばあるマレーシアの日系企業では、ドイツの顧客に向けた電子部品の出荷で船便スペースが切迫し、高コストな航空便での出荷を余儀なくされていました。そこで欧州にも拠点があるヤマトが、ドイツで貨物を一時保管し、緊急の需要が発生した際にはそちらの拠点から出荷するという提案を行いました。これはマレーシアヤマト単体で見れば、航空便の収入が減る提案でしたが、ヤマトが目指すのは顧客の経営パートナーとなり、グループ全体で適正な対価を得ることにあります。セクショナリズムによって最適な提案を阻害することはあってはならないというヤマトらしい価値観を、現地のスタッフとも共有する良い機会になりました。
変化こそ最大のチャンス。今こそ顧客目線の組織へ。
さまざまな宅急便サービスに代表されるように、私たちは常に顧客目線で変革をしてきました。今回Oneヤマトをキーワードに機能軸から顧客軸での組織に変わったことで、さらに顧客に寄り添い、法人のお客さまが何を求めているのかというところに深く入り込んでいく組織となりました。グローバルに展開する法人顧客に対しても、グループが持つ輸送、倉庫、フォワーディング、梱包、金融決済、システムなどの機能を組み合わせることができることがヤマトの強みです。顧客目線で最適なGSCとロジスティクスを設計・提案できる自由度の高さは、とてもやりがいがあると感じています。
シンガポール、マレーシアと海外の事業会社を担当してきましたが、どこの国でも人々の基本的な考え方や価値観が違うことはない、と感じています。むしろお客さまのニーズや社会そのものが変化している中で、私たち自身がその変化の先頭に立つ「チェンジリーダー」であり続けなければなりません。お客さまを理解し、ソリューションを提供することに主眼を置けば、ヤマト運輸ができることはもっと広がるはずです。いま、コロナの影響を受けた世界の供給網は大きな再編を迫られており、顧客にとってサプライチェーンの再構築はますます重要となっています。この変化をチャンスと捉え、失敗を恐れずに挑戦する方とともに、顧客にとって最適な経営パートナーを目指したいと思っています。
